【日記】令和7年11月28日
Daoko様のアジアツアー衣装を作った功績により、11月28日のアジアツアーファイナルにpeequodとmunimoniの2人を招待していただいた。嬉しすぎる・・・。
物販列に並んでいたら目の前の男性が小骨トモ先生とDaoko様とpeequodのコラボロンTを買ってくれていて、本当に嬉しかった。
肩をトントンとして、ご本人登場の顔しながら
「これ、俺が作ったんすよ!マジでかわいいですよね!どうも、これが生産者の顔です。写真撮っときます?反社の人とかじゃないですよね?まぁいいか撮っとこう!撮っとこハム太郎。てか、酒買ってくるっすよ!何がいいすか!?カンパイしましょう!あ、でもライブ前に飲みすぎたら超膀胱パンパンになっちゃいますよね、略してちょぼパン。ちなみにこのバックプリントはかなりこだわっていて追加料金で特大版作ってもらうことで〜」って興奮しすぎて迷惑をかけてしまう気がしたからやめた。でも本当に嬉しかったな。握手くらいしたらよかった。
会場に入りライブが始まる5分前、急に
「本当に衣装着てくれてるのかな・・・」となんだか不安になる。上海公演の写真はいただいていたけど、つい夏までは広島の作業場にあったものがDaoko様のライブで着られてアジアを一周しているという実感が湧かなかった。凄すぎて実感が追いつかなくて、周りの人に「Daokoの衣装作ったのすごいね!」と言われても「マジでヤベェっすよねpeequod!」とどこか人ごとのように答えていた。
「まぁ登場のとき着てなくてもどこかで衣装チェンジとか入って一曲でも着てもらえたら嬉しいよなマジで」って心の中で早口で保険をかけているとライブが始まった。Daoko様がステージに出てくる。遠くからでも、スポットライト入る前でも、すぐにわかった。
着ている────
依頼を受けた7月26日から置き去りになっていた実感が、ギチギチに引っ張られているスリングショットの弾性エネルギーが解放されたように、目に見えるくらいのほとばしる運動エネルギーを纏って11月28日の俺を真正面から撃ち抜いてくるそんな感覚。
泣きそうと思う前に勝手に涙が流れていた。
衣装の袖が優雅に、滑らかに動くその度に実感が五月雨のように降り注いだ。
マネキンに着せるのと人が着るのとでは服って全く違うな。というのは常々思っていたけど特にこの日はそう思った。服に生命が宿って、意志を持って、ステージ上で天真爛漫に楽しんで動いてるように、大仰な比喩ではなく本当にそう見えた。
俺は目が悪いんだけど、PA(音響)卓よりもさらに後ろの関係者席からでもはっきりと柄が見えた。客席からは見えないだろうし何を留めているわけでもない遊び心でつけてみた袖の小さなチャイナボタンも超見えた。子どものとき見ていたようなハレーションを起こすくらいに全てが鮮やかな景色を、32歳でまた見ることができるとは思わなかった。
俺の目が鮮やかなままライブ本編が終わり、アンコール。アンコールでも着替えずにそのまま俺らが作った衣装で出てきてくれてmunimoniのパピコちゃんと大興奮して小躍りした。
Daoko様はライブを通して何度も「続けてきてよかった!」と言っていて、アジアツアーの本当の最後の曲、「Rhythm in the Sunset 」の最後の方でもそう言って泣きながら歌っていた。
俺はそれを見て、たくさんの感情が昂って、また泣いた。
時は少し遡るが衣装制作真っ只中の8月、例えるなら唯一無二の親友と恋人に同時に裏切られて同時に失うような、そんなことがあった。
安い胸糞カス昼ドラみたいなよくある話だし、そんなことで死を選ぼうとする人たちに俺は、「そんな嘘つき不義理カスのせいでお前みたいな優しいやつが死ぬの許せん!もっといい女もいっぱいおるって!」と思ってたくらいなんだけど、違うのだ。
ただ自分の心という箱の中から人間が2人出て行っただけではないのだ。いっしょに行った居酒屋、フェス、古着屋、好きなバンド、曲、映画、ゲーム、漫画、etc…とにかくたくさんのことにまつわる思い出や、大事な人に愛されていることで保っていた自己肯定感や尊厳を、雑草を根から抜くときに周りの土ごと巻き込んで持って行ってしまうように自分の心から無遠慮に削り取って行く。その人に出会う前に戻るだけ。とはいかないし、その削り取られた部分に頸動脈が含まれていたら、それは人が死んだって何ら不思議はない。
「全部、本当に全部終わらせてしまおう。」と何度も思ったけど「さすがにDaoko様の衣装は作りたい」と(義務感ではなく、本当に俺が作りたくて)思ったから、俺が作ったものの中で一番の最高傑作を、せっかく生まれたからには俺の人生の代表作をこの世に残してやろう。という気持ちで衣装を作った。
munimoniも多忙な中徹夜でたくさんたくさん協力してくれた。
完成したときには、これでもう思い残すことはない・・・となる予定だった。
でも衣装が完成するまでの間に、何かを察したのかはわからないけど雀蜂のオーナーのyouciaoさんがかなり先の、来年のイベントとかまで声かけてくれたり、家族LINEで年始の家族旅行の話が出てきたり、友達がたくさんたくさん電話してきてくれたり、東京ポップアップに誘ったゲストがみんなすぐOKくれたり、どんどん未来の楽しそうな話が決まっていた。
「オンラインストアで買ってくれたみんなのを全部発送してからじゃないとな」と思っていたら、全部発送し終えたタイミングで新しい注文も次々と入ってきて、管理画面の「発送待ち」が0にならなかった。
そんなこんなでみんなのせいで、今となってはみんなのおかげで、終わらせるタイミングを逃し続けた。
新しく決まったイベントに来てくれる人たちのために新しく服をたくさん作り続けた。
11月23日から始まった東京ポップアップでたくさんの人に「サイコーの服をありがとう」「高円寺来てくれて嬉しい!」「来年も絶対東京ポップアップやってほしい絶対来るから」「peequodの服ないと着る服ないからずっと続けてくれ」ってたくさんの貰った嬉しい言葉たちがDaoko様の「続けてきてよかった!」の涙と同じタイミングで頭の中で思い出されてボロボロに溢れた。
最低の人間のせいで死ぬほど傷つくのだけど、それよりもpeequodを好きでいてくれる最高の人間たちがもっともっといてくれるおかげで今日も俺は生かされている。
生きていたらいいことがある。
チープでありふれたウソの気休めの言葉だと思っていたけど、どうやらあれは本当に本当らしい。
本当にpeequodを続けてきてよかった。
東京ポップアップやって本当によかった。(まだ今日と明日あるけど)
いっぱいpeequodの広島の店舗に通ってくれてた女の子が8月に、今回の高円寺ポップアップにもまた呼びたかった友達が10月に、自殺しちゃって、そのとき俺はちょっとだけ羨ましいと思っちゃった。実行できて凄いとも思った。俺にはできなかったから。
のだけど、やっぱり結局生きているやつが一番凄いに決まっている。
大好きなその2人の友達に逆に、羨ましいと思わせたい。今の俺を見て、「いいなぁ」ってそう思っていてほしい。
終演後、そんなことを考えながらグジュグジュ泣いている俺を見たmunimoniのパピコちゃんが「将太さんも泣けるんですね」と言ってきた。俺をなんだと思ってるんだと笑っちゃって、いつの間に涙は止まっていた。
高円寺ポップアップ残り2日、笑顔でやれそうです!とってもみんなに会いたいぜ!飲める人はカンパイしよう!お待ちしてます!