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「選考結果のご連絡」
ZOZOTOWNのスタートトゥデイから届いたメッセージだ。
就活してた人ならわかるかもだけど、この件名の時点でかなり吐き気がクる。いてもたってもいられずバイト中だけどUNIQLOのバックルームで山積みの資材とパッキンに隠れながら社員さんたちに見つからないようにこっそりスマホの画面を開いた。
案の定、マイページを確認すると浮かぶ「これからの貴方の就職活動の成功をお祈り申し上げます」の文字。不採用通知だ。

この日が一生忘れもしないであろう3月23日。この日が僕の人生の最大のターニングポイントだった。

高校受験は地元長崎の進学校に入学し、大学受験は広島大学法学部合格。試験に落ちるという経験のなかった僕の人生はこの日から、とにかく選考という選考、試験という試験に落ちまくる人生になった。

「滑り止め」というものをこれまで受験などでもしたことなかったもんだから、「いや、スタートトゥデイにしか入る気なかし、スタートトゥデイ一本で行くわ!」と就活に対しても謎の自信満々で臨んでた。だからこそ、スタートトゥデイ落ちてからはもう何もかもが人よりスタート遅くなり、クソみたいな対策しかできてないぶっつけ本番みたいな面接を受けては薄っぺらな部分がバレて落ちまくった。

それでも「行きたいと思ったとこしか行きたくない」「したいことしかしたくない」のマインドが強すぎて倍率ウン百倍のキリンだとか超大手を受けまくる日々。
そんなとこでも書類審査とか一次審査は通ったりするのでなおさら変な自信とプライドが拭いきれなくなっていた。

みんなが内定式に行く10月1日。未だに無内定の僕はその前日、9月30日の夜広島から東京へ向かう夜行バスに乗っていた。スタートトゥデイの子会社、クラウンジュエルの説明会へ行くために。みんなが内定式で「同期キャラ濃すぎwww」みたいなしょうもないツイートしてる中、僕はひたすら説明会後に配られるエントリー用紙の空白を埋めていた。絶対にここに食い下がってやる。と意気込んでいた。
けど、そのクラウンジュエルも二次審査で落ちてとうとう心が折れた。

そのままちょこちょこまだ募集かけてるところにエントリーしては落とされるを繰り返し、この頃にはもうかなり自暴自棄だったと思う。

もともとは入国審査官になるために公務員志望で広島大学法学部に入ったわけだが、最初の公務員ガイダンスの「過去の事例や慣例が絶対的な常識。それに逆らうのは異端」的な雰囲気がマジで合わないと思って民間に切り替えた。その民間でもことごとく必要とされないわけで、俺はどこでなら生きられるんだ?公務員も向いてない、企業にも必要とされない。

3月、とうとう無内定のまま卒業して学生でも社会人でもないなんでもない存在になってしまった。学生アパートは追い出されるので家もなくなる。家なき子。同情するなら職をくれ。「とにかく何かしら仕事のあるところへ・・・」と思い、とりあえず広島市内で家を探す。この頃にはちょこちょこ「マジで今回だけ頼む・・・」と借りてきた親からの借金がもういくらかもわからなくなってきた

実家長崎にいる両親は僕が家具屋さんに正社員として就職したと思ってる。僕が10月にそうウソをついてたから。
内定おめでとうの言葉がこんなに刺さったことはない。刺さるというかじわじわ絞められる感覚。罪悪感とか恥ずかしさとか悲しさとか、一緒くたになったあの感情、今でも思い出して胸がギュッとなる。

あのときスタートトゥデイに内定決まってたら、僕はよくそんなことを考えていた。
誰よりも早く就活終えて、大学1年生の7月から続けてきたUNIQLOのバイトに明け暮れて、貯金もできてヨージとかギャルソンの服とかも定価で買っちゃったりして、卒業旅行でヨーロッパだって行けてただろうな。幕張の海の見えるオシャレなマンションにだって住めてただろうし、奨学金も年金も国民保険もNHKも家賃も水道代も滞納することなく暮らしてたんだろうな。実家に帰って家族の「家具屋さんの仕事は慣れた?」に対してもウソを重ねることもなかったし苦しくなることもなかった。実家の猫がペット保険に入ってることを聞いて、「俺でも国民保険きかないのに・・・」と悲しくなることもなかった。

そういうのが積もり積もってZOZOTOWNへの恨み(逆恨み)がつのり、ZOZOTOWN非買運動を1人でやってた(今もやってるけど)し、社長の悪口が書いてるスレとか1日中眺めてたりもした。紗栄子と破局したときは1番の笑顔になった。「あんたが紗栄子に貢いだ金の1000分の1の金で救われる人間がここにいることを知ってくださいよ、社長」

就活のときのトラウマで、スーツ(特にビジネスネクタイ)を着るとマジで動悸がするので自分の好きな服を着て働けるカフェでバイトとして働きながら(最低賃金を下回る時給で)生活の舵を取った。
(実はこのカフェでさえ面接で「広島大学法学部出てうちはもったいない」とかわけわからん理由で落とされかけたけど、こんなとこでまで落とされたらマジでどう生きたらいいんやとなって粘りに粘って入れてもらった。)

貧乏暇なしのバタバタの日々の中、アコム・楽天・セゾン・全保連・奨学金・NHK・国民年金・水道局その他もろもろの督促に終われながらも、ZOZOTOWNへの憧れも恨みも全部忘れてなくて、忘れてないからこそここまで来れた。

古物商の資格を取り、個人事業主の申請を終えて胸を張って「古着屋」とようやく名乗れるまでになった。
どの企業からも欲しがられることのなかった自分が、大好きな服を自分の職業にできてるのだからこんなに有難いことはないと思う。
そして、いつかはZOZOTOWNの方からうちに仕事依頼してくるようにまでなってやるってのが今のところ1番のモチベーションかもしれない。

そういう意味でもスタートトゥデイに不採用言い渡された3月23日にこのショップをOPENすることにはハンパじゃなく感慨深いものがあるし、大きな意味がある。 ここから始めるのだ。今日、3月23日、新しいこれからを始めるのだ。

長くなりましたが、要するに「俺を採用しなかったスタートトゥデイに俺の好きな服と、俺の好きな服を好きな人たちと一緒に一泡吹かせたいので、皆さん僕の逆恨みに力を貸してください♡」という意味です。ZOZOTOWNじゃ置けないようなヤバイのをたくさん入れていくゾ。これからもよろしくお願いします。

peequod代表 山村将太

スペシャルサンクス
・cashcatsのときからのお客様。マジで生活を、命を、救ってくれた恩人です。おかげ様で就活のときに見失ってた存在意義がようやく見出せました。全員結婚式とか呼びたいレベル。
・楽天カード。SAISONはすぐ止めやがったのに楽天カードだけは俺の生活がまともになるまで粘り強く待ってくれたね。本当に命救われました。ラブ。近々楽天モバイルに乗り換えるね。
・これからpeequodを応援してくれる皆様。peequodを応援してくれる人は大なり小なりきっと社会不適合者です。俺と一緒で公務員とか組織とかあんまり向いてない。(偏見)
けど、実際「普通」や「一般」の枠にいる人らはまずこの店に近づいても来ない。そういう周波数みたいなのが絶対にある。そして、そういう「まとも」がイヤでここに来た人らこそが、革命を起こせるわけですよ。「まとも」で革命起こせるわけないじゃん。革命起こそうぜ。これからもよろしくお願いします。